行政視察報告

教育経済常任委員会行政視察報告

平成23年10月27・28日


■長野県諏訪市

諏訪大連会の取り組みと地域企業サポートについて


長野県諏訪市の産業といえば、誰しもが精密機械製造業のメッカと認識しているのではないだろうか。今回、諏訪市を視察するまでは、私も同様に考えていた。しかし、「東洋のスイス」と言われ、精密工業が盛んなハイテク産業都市においても、生産部門の国際競争やグローバリズムが進む中、大きな変化が発生しているとのことであった。現に、最大手のセイコーエプソンも、ほとんどの生産基地は他市に移行し、本社機能と総務・管理部門が、諏訪市において営業活動をしているのが実態とのことで、この特殊な技術が蓄積された精密機械製造の業界においても「空洞化」の波は避けて通れない状況とのことであった。


ハイテク技術が集積された諏訪市の産業界が国際化・経営強化を推進するため、諏訪市と共に『諏訪大連会』を立ち上げ、中国との取引・交流・情報収集を推進しながら、国際社会やグローバル化した経済界に意欲的に参画し、国際企業としての変革への方向性が高まり、地元企業も中国市場への進出が活発に取り組まれているとのことであった。


この『諏訪大連会』には諏訪市を筆頭にジェトロ諏訪支所や県中小企業振興センターの行政等の支援の中、18社の会員構成で「大連市との経済、観光交流」や「諏訪のPRパネルの配置」「中国の情報収集」を中心とした事業を積極的に展開しており、諏訪地域の優れた精密加工技術を武器にして中国に進出する企業の後押しをしているとのことであった。


このように力強い『諏訪大連会』の発展には、ジェトロ諏訪支所が大きな牽引力になっているからこそできたプロジェクトではないかと考えている。ジェトロの支所は全国でも珍しく、その存在は企業の海外進出に対しては大きな鍵とも言える。かつて繁栄をもたらした地域経済の基盤となった企業も永遠に繁栄が続くものではない。いかに努力をしても、現在の歴史的な円高の状況下では、輸出産業にとって大きなマイナスであり、企業努力だけで解決することは大変難しいことと考えられる。


今回の「諏訪大連会」を視察して感じたことは、地方自治体としての行政は、その地域のシンクタンク的な立場であるからこそ、地場の産業・経済の方向性を含め、世界でも通用する企業の育成のため、グローバル化を推進する企業をはじめ、国際力強化を目指し、外国の情報収集や経済界の交流を図り、地場産業の振興に重点を置きながら行政施策を展開し、さまざまな支援事業を推進しなければならないと考えさせられた。


▶ 長野県諏訪市公式ホームページ

■長野県塩尻市

地域児童見守りシステムについて


塩尻市の「地域児童見守りシステム」については、子どもたちが被害者となる事件が全国的に増加しているため、子どもの登下校時の安全・安心の向上を目的として「官学連携」で取り組まれた事業である。塩尻市では、もともと情報通信基盤の光ファイバーの整備が進んでいることや、情報拠点である塩尻情報プラザの機能活用、子どもたちの安全・安心の確保を図るため、信州大学と塩尻市の連携プロジェクト「スコラ」の研究事業の一つとして開発され、平成20年から運用を開始した。


このシステムは太陽光で充電を賄う中継器を市内625箇所に設置し、中継器同士が無線で自由に通信できる「アドホックネットワーク」を使用し、操作をしなくても定期的(3分ごと)に情報を発信し、携帯電話やパソコンから専用のWEBサイトにアクセスして子どもの位置情報や地図閲覧ができるシステムである。子どもたちが持ち歩く子機は、利用者負担であるが、月々の使用料は必要がないとのことである。また、この子機には非常時に使うピンがあり、このピンを引き抜くとあらかじめ登録された保護者などの携帯電話やパソコンに緊急メールが送信されるそうで、父兄保護者にしてみれば安心な施策だと感じた。


この事業は、平成19年度に総務省が行った「地域児童見守りシステムモデル事業」委託を受け、その後2ヵ年の継続で整備を行い、国庫委託金ほか約1億円強の交付金が当てられた事業であるが、その利用者アンケートを見る「満足度」も約45%であり、現在では、GPSの発達で精度面の問題や登録などの使い勝手が難しい等の課題が生じているとのことである。


子どもたちの安全と安心のためには、どれほど予算を注ぎ込んでも必要とあれば整備することが必要だと思うが、「どのような形で、どこまで」整備をするのか、費用対効果も考えながら精査する必要があると感じた。


▶ 長野県塩尻市公式ホームページ